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屋根のない美術館・釜山の芸術村

文・写真 旅行作家 イ・チョルヒョン

屋根のない美術館・釜山の芸術村
  • 評価 レーティングの星5.0
  • PV 5,083
美しい風景のもと、文化と歴史が秘められた旅行スポットが、釜山では随所に隠されています。路地に色とりどりの芸術の花が咲く「芸術・文化村」も、その一つです。
爽やかな風が吹く秋は、芸術と文化の薫り漂う路地裏巡りにはもってこいの季節なのです。名前からして親しみを感じさせる「カンカンイ芸術村」や「虎川文化村」、「李仲燮文化通り」。それでは、釜山の「屋根のない美術館」へ、出かけてみましょう。
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カンカンイ芸術村

カンカンイ芸術村は、チャガルチ市場の向かい側にある、かつて「造船所村」として知られた場所です。韓国ではじめて発動機付きの船が制作された「田中造船所」が位置し、船舶修繕業のメッカとなった場所です。村の住民の高齢化が進み、次第に忘れ去られていったのですが、影島大橋の 跳開機能が復元されたことがきっかけとなって、「カンカンイ芸術村」という名で、現在では定期ツアーやクルーズ船、船舶体験など様々な楽しみ方ができる場所へと生まれ変わりました。今では、釜山の市民たちが週末に出かけるピクニックの場所であり、旅行者にとっても人気の高い訪問必須の観光名所となっています。
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カンカンイ芸術村のスタート地点「カンカンイ案内センター」は、船舶ツアーと海上ツアーのターミナルとして利用されています。ここでは、カンカンイ海バスとも呼ばれるクルーズ船に乗って旅を楽しむことができます。芸術村という名にふさわしく華やかに彩られたカンカンイ海バスは、悠々と海の上を遊泳します。そこからはカンカンイ芸術村や周辺の造船所の風景を海の方から眺めることができます。
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カンカンイ芸術村で華やかなのは、クルーズ船だけではありません。カンカンイ案内センターのすぐ前にある「カラフルストリート」を見てみましょう。カラフルストリートは、ウォールアートプロジェクトの一環として、古い倉庫や工業社の壁を塗り替えてつくられた通りです。このプロジェクトのおかげで、個性的で華やかなまちの風景が人目を引き、今ではインスタ映えする写真や思い出の写真が撮れる名所となっています。長年「船を修理する村」として認知されてきましたが、今では「アートと文化のある村」として生まれ変わっていますが、そのことには「カラフルストリート」が大いに貢献したと言っても過言ではありません。
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カラフルストリートから村のあちこちへ歩くと、「ポールアート・プロジェクト」によって描かれた漫画を楽しむことができます。電柱は街でよく見かけるものですが、この村の電柱には色々な漫画が描かれていて、その漫画を通じてカンカンイ芸術村の過去と現在を知ることができます。
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カンカンイ芸術村の歴史をさらに詳しく知りたい方には、「通り博物館」がおすすめの場所です。カンカンイ芸術村の始まりから今に至るまで、変化に富む歴史が壁に描かれています。壁に沿って村の歴史が描かれているのです。通り博物館から海へ向かって進むと、影島大橋、チャガルチ市場、釜山タワー、龍頭山公園など、釜山のランドマークを眺めることができます。遊泳するポンポン船や波打つ海を眺めながら、ゆっくり癒しの時間を過ごすのにうってつけの場所です。


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李仲燮文化通り

韓国を代表する画家であり釜山東区ゆかりの天才画家・李仲燮をご存知ですか?『白い牛』という代表作や画材を買う金がなくタバコの銀紙によく絵を描いていたという逸話で知られる画家・李仲燮の作品が、通り全体に描かれています。
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釜山東区凡一洞につくられた李仲燮文化通りでは、画家・李仲燮の作品と世界観が階段や壁に表現されています。都心の一角に、まだあまり知られていない李仲燮ゆかりのまち・李仲燮文化通りがあります。
李仲燮文化通りを存分に堪能するためには、彼について調べてから旅に出ると、さらに共感できる時間になるはずです。李仲燮は、光復洞の近くの密茶苑(ミルダウォン)、金剛(クムガン)喫茶店、ふ頭の酒場などで釜山に避難してきた芸術家たちと交流し、韓国の芸術の発展に多大な貢献をしました。また、タバコの銀紙に絵を描き、貧困の中で苦しい生活を送りながらも『白い牛』、『雄牛』、『凡一洞風景』という世界的な作品を残し、今では天才画家として知られています。
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李仲燮文化通りの起点となる入口から上の風景を見上げると、まず「階段壁画」が目を惹きます。作家の名高い作品が一段一段描かれていて、階段を正面から見ると、もう一つの完成作品に見える仕組みとなっています。登るのが大変ではありますが、なんとか頂上に立つと、また上から眺める下の作品が違って見えてきます。
階段の途中にある休憩所では、李仲燮画家の作品をオマージュした椅子や壁の構造物があり、違う形で彼の作品を楽しむことができるようになっています。階段を登る間、壁画、インスタレーション作品、タイルアートなど、様々なスタイルで李仲燮の作品に接することができ、まるで美術館を旅しているような錯覚に陥ります。
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階段の端で出会う李仲燮展望台では、凡一洞の風景が360°パノラマビューで広がります。小さい展望台ですが、世代を超えて誰もが魅了される風景が広がり、しばらく休んだり、思い出の写真を撮ったり、皆にとって憩いの場となっています。さらにここからは、もう一つの屋根のない美術館・虎川村の全景もゆっくり眺めることができるという、魅力あふれるスポットです。


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虎川村

ご存知ですか?以前は平凡な村でしたが、今では釜山の旅行の必須コースとなっている虎川村を。わずか数年前までは、訪れる人がほとんどいない、こぢんまりとした場所でした。ところが、ドラマのロケ地となったことで広く知られ、今では釜山を代表する観光スポットの一つとなっています。
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虎川村に直接行ってみると、「ドラマのロケ地となって有名になった」という言葉は、少し語弊があると感じるかもしれません。長い歴史と文化を持ち、美しい風景の中に佇んでいる虎川村は、ドラマと関連付けなくても、十分魅力的な地域ですから。
くねくねと曲がる山腹道路に沿って屋根と壁が彩られた家々が建ち並び、その美しい色合いと風景が調和しています。昼の虎川村の風景は、まるで水彩絵の具で描かれているように華やかでありながら柔らかい色合いに包まれています。
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虎川村という名は、村に流れる虎渓川に由来します。虎が水を飲みにくる川という意味だそうです。その地名のためか、虎川村には随所に虎の絵が描かれています。虎壁画通りは、住民が住んでいる家の壁に、虎を題材にした壁画が描かれていて、それぞれ物語が秘められています。村の道をゆっくり歩き、物語が展開される虎の壁画を楽しむことができます。
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勢いよく流れる虎渓川の近くには、「オスロン美術館」があります。虎川村を含む近隣の住民が、カリグラフィーの授業を通じて完成した作品を展示しています。時期によっては「オスロン美術館」に作品が展示されていることもあり、作品を鑑賞することができます。
また、虎川村に沿って伸びていくデッキの遊歩道を歩き、虎川村の隅々をしっかり見て回ることをおすすめします。歩き続けると、いつの間にかドラマ『サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』のロケ地として知られる180階段に到着。下から見上げる180階段は、まるで天に届かんばかりに伸びているように見えますが、一旦階段を登り始めると、後ろに広がる村の風景が素晴らしい眺望となる、素敵な階段なのです。
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階段の端には、「虎川文化プラットフォーム」がありますが、そこはドラマ『サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』の「ナミル・バー」が再現されたスポットです。思い出の写真やインスタ映えする写真を撮るフォトスポットとして大変人気を博しています。
虎川文化プラットフォームから眺める虎川村の風景は、まるで一枚の絵画のように美しく感じられます。魅惑の村の風景、180階段、壁画、美術館など、見どころ満載の屋根のない美術館・虎川村へ、是非一度お越しください。

利用案内
  • 住所

    カンカンイ芸術村 釜山広域市影島区大平北路36(カンカンイ芸術村案内センター)
    虎川村 釜山広域市釜山鎮区厳光路491(虎川文化プラットフォーム)
    李仲燮文化通り 釜山広域市東区凡一洞1461-142
  • 電話番号

    カンカンイ芸術村案内センター +82-51-418-3336
  • 休業日

    年中無休
  • 営業曜日及び時間

    常時
  • 利用料金

    無料
  • 交通情報

    カンカンイ芸術村
    都市鉄道1号線・ 南浦駅6番出口。徒歩18分。
    都市鉄道1号線・ 南浦駅6番出口→影島大橋(南浦駅)バス停にて乗り換え。6→カンカンイ芸術村バス停にて下車。徒歩8分。
    駐車:蓬萊洞、南港市場公営駐車場(有料)

    虎川村
    都市鉄道1号線・ ポムネゴル駅7番出口→ポムネゴル駅バス停にて乗り換え。29, 86, 38→アルムビルアパートバス停にて下車。徒歩7分。
    西面ロッテデパート釜山本店の向かい側・ロッテホテルデパート(西面駅)バス停にて87に乗車→虎川村入口にて下車。
    駐車:スカイウェイ駐車場(有料)

    李仲燮文化通り
    都市鉄道1号線・凡一駅7番出口。徒歩15分。
    都市鉄道1号線・ポムネゴル駅7番出口→ポムネゴル駅バス停にて乗り換え。29, 86, 38→アルムビルアパートバス停にて下車。徒歩2分。

エチケット

実際住民が居住している地域です。マナーを守ってお静かにご覧ください。

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