釜山港を中心に、近くの山の中腹にびっしりと立ち並ぶ住宅。
故郷を離れ、釜山に避難してきた人々の街。仕事を求めて埠頭、駅、国際市場に向かう人々が行き来した168階段。
慶尚地方の方言さえ知らなかった人々が咲かせた物語の道。草梁イバグキルに行ってみよう。
草梁イバグキル
旧百済病院 - 南鮮倉庫址 - 草梁教会 - 168階段 - 金敏夫(キム・ミンブ)展望台 - イバグ工作所 - 張起呂(チャン・ギリョ)ザ・ナヌムセンター - 柳致環(ユ・チファン)郵便ポスト展望台
釜山駅を出ると、釜山の特別な物語が始まる。釜山駅の向かいの狭い路地にある旧百済病院と南鮮倉庫址が草梁イバグキルの出発点だ。大きな百済病院と、赤レンガの壁だけが残る南鮮倉庫址から、歳月の跡が感じられる。1920年代に最も栄えていたこの町の、当時の状況に想いを馳せる。
外国人宣教師によって建てられた最初の教会、草梁教会に行ってみる。抗日運動を展開し、神社参拝に反対した人々が集まったという。草梁小学校周辺の狭い路地には、歳月の痕跡がたくさん残っている。それぞれの写真の中に、避難民の喜怒哀楽が映っている。
道路さえなかったカコマクの貧民街には、当然水道施設もなかった。168階段を駆け降りてバケツに水を汲み、再び階段を上らなければならない毎日だったはずだ。今は跡地だけが残る井戸や、階段の横を走るモノレールから、歳月の流れを感じる。
釜山出身の天才詩人・金敏夫(キム・ミンブ)を称える金敏夫展望台でひと休みして、イバグ工作所に向かう。イバグ工作所は、草梁山腹道路の様々な物語が展示されている空間だ。山腹道路にある一つひとつの家には様々な物語が存在する。厳しい生活の痕跡を、淡々と伝えている場所だ。
自分の家すら持たず、生涯貧しい避難民を無料で診察した外科医・張起呂(チャン・ギリョ)先生。医術ではなく、「人術」を施したその行跡を記念する張起呂ザ・ナヌムセンターで、貧困を自ら選んだ故人の崇高さを学ぶ。市内バスで行ける山腹道路の交差点にある柳致環(ユ・チファン)郵便ポスト展望台から釜山港を眺めながら、草梁イバグキルの旅を締めくくる。
歳月を感じる路地には、それぞれの物語がある。「イバグ」は「物語」、「カコマク」は「急な峠道」を指す方言だと、旅を終えて気付いた。
草梁イバグキルは、かつての避難民がそうであったように、進み続ける人生の旅だ。
お役立ち情報
イバグキルのモバイルアプリケーションで、イバグキルに関する情報を得ることができる。
エチケット
住宅街の近くでは、大声で話さないでください。